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羊とくらす ハイジのおばさんの手しごと

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ウールのぬくもりが手放せない季節です。手しごとが好きな人にとっては手編みや手織りをのんびり楽しむのも心が温まるひとときですよね。
野比海岸近くに、なんと羊を飼っているお宅があると聞いて訪ねてきました。

のんびり草を食む2匹の羊がいました。

迎えてくれたのは「ハイジのおばさん」こと穐本(あきもと)せつ子さん。
20年ほど前からお庭に2匹の羊を飼っています。顔が黒いのがサフォーク種、白いのがコリデール種。「トマト」と「キューリ」と名付けられた2匹はともに12~13年前くらいにやってきた二代目で、羊としてはもう高齢です。

自作のセーターを手に微笑む穐本せつ子さん。

 

毛糸ができるまでの大まかな工程は、「羊の毛を刈る→羊毛を洗って脂を落とす→草などのごみを取りのぞく→カードがけ*をして繊維を整える→糸車で毛糸を紡ぎ、撚りをかける」といったかんじ。ものすごく端折って説明していますが、とても手間ひまがかかることが分かるでしょうか。こうしてできた毛糸からセーターやマフラーを作ります。この工程を「羊を飼う」ところから個人でやっているというから驚きです。
* 平たいブラシのような道具(ハンドカード)で原毛を梳かす作業

 

作業場はまるで絵本の中のようなワクワクするものがいっぱい。

 

手しごと好きが集まる温かいひととき
穐本さんはご自宅の二階で「糸紡ぎ」と「機織り」を教えています。
この日は今年最後の教室開催日でした。穐本さんは織り機と糸車の間を行ったり来たり指導をしつつ、モンゴルへの情熱や一代目トマトとキューリとの別れの顛末を語ったり……。あちこち転がるトークと拾いきれない冗談にみんなの笑いが絶えません。

 

ご自宅の2階を使った教室は終始にぎやかな雰囲気でした。

 

わたしも糸車の前にすわり、紡ぎを体験させてもらいました。まずは足踏みで糸車を回す練習からはいり、原毛を持つ手の使い方のコツを教わります。そしていざ紡ぎ始めて数分、これは……向いてるかもしれない! 

 

取材を忘れて回る糸車を眺めながら、私も羊飼おうかとちょっとだけ本気で考えていました。

 

今回わたしが初めて紡がせてもらった糸。とてもいとおしい。

 

おしゃべりに花を咲かせつつも、糸紡ぎ、編み物、機織りとそれぞれの作業に没頭していると、「はい休憩、休憩」とお茶を運んできてくれました。お茶請けは自家製の漬物。生徒さんたちもこの時間を楽しみにしているそうで、差し入れの焼きいもとゴーヤケーキ(!)も加わって、おやつタイムも大盛り上がりでした。

 

時間と手間をかけるからこそ使えるものは無駄にしない
穐本さんは教室のほか、フリーマーケットやイベント出店などでセーターや帽子などの作品を売っています。また自家製の野菜や漬物もご自宅の玄関先で売っていました。

休憩後は衣装ケースにぎっしり詰まった穐本さんの作品をみんなで物色。

 

庭にみかんの皮があったので羊が食べるのかと聞いたら、人間が食べて残ったリンゴやみかんの皮をあげると喜んで食べるのだと教えてくれました。草木染の染料としてもみかんの皮やウニの殻、タマネギの皮などおいしく食べた残りが使えるのだそうです。さらに野菜作りでは羊の糞を肥料にしているとか。
羊を飼うことから始まったこのサイクルは、本来なら捨てられてしまうものが次の何かを生み出す元となって、うまく循環していました。「がめついから全部使って儲けるの。」と穐本さんは自嘲気味に笑いますが、本当に豊かな生活ってこういうことなのかもしれませんね。

INFO

ハイジのおばさん|紡ぎ・機織り教室
穐本せつ子さん
教室開催日 毎週火曜13時~16時
(事前にお問い合わせください)
住所 横須賀市野比5-9-14
電話 046-848-5373