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アート、あーと、art…!“正解”のない、子どもたちの表現の場。

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扉を開けた瞬間に飛び込んでくる独特のにおい。絵の具などの画材からだと思うのだけれど、このにおいは「絵を描く場所のにおい」だと思う。
 横須賀市池上に開かれているこどもあーときょうしつ。通称、アトリエ。1988年10月から始まったこの教室は、今まで延べ273人の子どもたちが学んできた。一人一人の在籍期間が長いのも特徴で、中には10年以上通う子たちもたくさんいる。現在は14人の小中学生と幼稚園児が在籍中だ。
 「ここには課題もないし、正解もない。」と、この教室を運営する石渡正一先生は言う。石渡先生は美術大学を卒業後、アメリカはロサンゼルスに行き、帰国後は家で油絵を教えていた。教えている中で、学びたい子どもたちがいるのなら、家でなくて、教室を開いて教えよう!と思い立ったのが、アトリエを始めたきっかけだったそうだ。

3年かけて集めて作った牛乳パックハウス。

ミニチュアハウス制作をする生徒たち。

 

 アトリエでは絵を描くことだけでなく、工作、折り紙、ミニチュア制作など様々な“アート”に子どもたちは挑戦している。週に何回来ても良く、特定の課題が与えられるわけではない。自分たちが好きなものを好きなように表現していい場だ。「基本的に“ダメ”、とは言いません。」と語る石渡先生。確かに訪れた日も、絵を描く子、ポンポン作りに夢中になる子、ペーパークラフトに挑戦する子などがいた。
 「みんなちがってみんないい」とは金子みすずさんの有名な詩の一説だが、ここにいると、その言葉がすんなりと入ってくる気がする。子どもたちにとって、「人それぞれ、そのままでいい」、と思わせてくれる場所は、案外少ないのかもしれない。だからこそ、このアトリエが“特別”な場所になり、10年以上通う生徒も多いのだろう。

いちごをモチーフにした折り紙ドレス。

中学校の制服をモデルにした折り紙作品。

 

 子どもたちだけでなく、石渡先生自身も制作活動をしている。折り紙を縫い合わせて作ったドレスや、自分で折り方を考案した折り紙作品、生徒たちにも協力してもらい作った牛乳パックハウス(なんとパック4000本使用!)など、思わずうなってしまう作品ばかりだ。

 

生徒たちと一緒に箱根彫刻の森美術館へ。

 

 また石渡先生は、子どもたちを連れて美術館や博物館、展覧会などへも行く。長期休みや連休などを利用してアートに触れに行く。子どもたちを大勢連れた先生を見ると、まるで大家族のお父さんのよう。

 

 29年目を迎え、子どもたちの様子はどのように変わってきたのだろうか。石渡先生に聞いてみた。「時代が変わって、環境は大分変わったけれど、子どもたちは変わりませんね。子どもは、子どもです。」
 子どもはとてつもないエネルギーと好奇心を持っている。そのパワーを、内に秘めたものを、表現し、それが受け入れられる場所。いつの時代も、子どもたちはそんな場所を求めているのかもしれない。

INFO

こどもあーときょうしつ

住所:横須賀市池上2-10-13
TEL:046-852-7196
HP:http://www.kodomoart.jp/