創業明治三十年 手作りの音色「前田楽器店」A timbre of craftsmanship, since 1897

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横須賀中央駅から平坂を登り、横須賀上町商店街をやや歩いた中程に年季の入った店構えの三味線と琴の専門店があります。その名は前田楽器店。明治三十年創業、店主は四代目の前田和憲さん。店内で手作りの三味線を販売しています。現在では横須賀、逗子、三浦周辺ではただ一軒の三味線屋です。

お客さまの三味線の手入れをする店主、前田さん

前田さんは“現代の名工”と言われる三味線製作者「石村定夫」氏のお弟子さん。
東京都目黒区にある石村氏の三味線製作学校、通称「石村学校」で石村氏から直接教えを受けたそうです。通常は住み込みで修行するのですが、当時すでに結婚されていた前田さんは横須賀から目黒まで毎日始発で通われたそう。約五年の修行期間を経て三十五年前に先代からお店を引き継ぎました。

 


前田さんの祖父にあたる二代目の頃には、米が浜通りに芸者の見番(けんばん)があったそうで、そこへ三味線をおさめていたそう。現在のお店のお客さんはお年寄りがメインですが、子育てが終わって楽器をやってみようか、という方も来店されるとか。また、「若い人にも和楽器の良さを知って欲しい」という想いのもと、三味線仲間で小学校や中学校に音楽の授業で和楽器を使ってもらえるよう働きかけているそうです。

前田さん製作の三味線。一つの三味線を製作するのに通常二十日から一ヶ月程度かかるそうです

店内には前田さん製作の三味線がいくつも並んでいます。三味線をじっくりと観察するのは初めてだったのですが、ピンと貼られた胴の皮、細部まで作り込まれ磨き込まれた棹(さお)、見れば見るほどその美しい艶に惹き込まれます。
三味線の艶出しには漆が使われることが多いそうですが、前田さんは後々修理することを考えて、艶出しに漆は使わず徹底的に磨き込みます。前田さんの三味線は楽器であると同時に芸術品だと思いました。

店頭に飾られた三味線の原料「唐木」

三味線の原料となるのは唐木と呼ばれるインドやタイ原産の木材。花林(カリン)、紫檀(シタン)、紅木(コウキ)などが有名なところで、使用する唐木によって三味線のグレードが変わるそうです。実際に紅木にさわらせてもらったところ、非常に固くしっかりとしていて、まるで石を持っているかのようでした。


三味線の製作や手入れには、ノミ、カンナ、のこぎり、ヤスリ、砥石など様々な道具が必要になるのですが、現在は一箇所で揃えることは難しく、浅草、大阪日本橋、福井県など全国から調達しているそう。ご自身で「これだ」と思える道具を探し回ったり、三味線製作仲間同士で情報交換をしたりして最適な道具を揃えているそうです。

ネット販売を含め、他のお店で購入した三味線を持ち込まれる方もいらっしゃるそうですが、修理を引き受けられています

最後に前田さんに、どんな方にご自身の作られた三味線を使って欲しいか聞いて見ました。
「三味線はどうしても演奏により傷んでしまう楽器。手入れをしながら一つの楽器を長く大事に使ってくれる人に使って欲しい」と話してくれました。


これから三味線を始めてみようと思う方、前田楽器店を訪れ、ぜひ本物の三味線を手にしてください。


In the Yokosuka Uwamachi shopping arcade, there is a shop is specializing Shamisen and Koto instrumental, named “Maeda Musical Instrument Store”, established in 1897. Owner Mr. Kazunori Maeda, is the fourth generation, sell hand made Shamisen. Here, this is the only one Shamisen shop around Yokosuka, Zushi and Miura.
He says "Shamisen is an instrument is needed to be fixed by the playing performance. And I would be happy if people use the instrument for a long time and carefully".

INFO

名称:「前田楽器店」
住所:横須賀市上町2の7
営業時間:午前10時半〜午後6時半
定休日: 毎週日曜日
電話:046-822-0588